『フリーソロ』に真の探求者の姿を観る

剣武天真流演武会が終わってホッとひと息ついていたところ、蒼天「松野グラスビーズ」チームの貴ちゃんが、『フリーソロ』というドキュメンタリー映画をおススメしながらその予告編をシェアしていたので、思わず観てしまった。

映画の予告編というのは観たくなるよう作られているものだが、この予告編の引力は圧倒的で「直ちに観に行かねば!」という気持ちにさせられる。実際、私たちは都合の付けられる最も早いタイミングで映画館に向かったし、貴ちゃんも別な剣武道友から予告編について教えられ、同じパターンで映画館に直行したらしい。

という訳で、予告編を観れば説明は何も要らないのだが、以下に自分用のメモだけ残しておきたいと思う。

・フリークライマーの主人公アレックスの生き様には、余計なものが一切ない
・心から求めているものに忠実であり、自分の感覚にも徹底的に忠実である
・感覚麻痺でも死を望んでいる訳でもなく、生きている実感を求めてギリギリのところを攻めている
・決して無謀な事はせず、可能な限りの準備をし、自ら積み上げたものだけが自信になるのを知っている

彼の生き様は、多くの人にインパクトを与えると思うが、稽古人や道の探求者には特に響くに違いない。クライミングを自分が追い求めている何かに置き換えて観れば、色々な場面で考えさせられるし、見えてくるものもあるからだ。加えて、この映画は制作サイドの姿勢も素晴らしいので、その点についてもメモしておこう。

・もの凄い事をやってのけているのだが、それを変に煽ったり加工したりせずに伝えている
・制作クルーもプロクライマーで、アレックスの感覚や心情を理解して気を配っているのが分かる
・大自然と生死という根源的テーマが持つ圧倒的な迫力を、制作者たちも実感している

それにしても、力まないで観るのが難しい映画だった。どうしても無意識に力が入ってしまうシーンが多いのだ。成功が分かっていても緊張せずにはいられないシーンの連続で、見終えた後はドッと疲れが出るが、同時にとても清々しい気分になれる映画でもある。

心からの声に徹底的に忠実であることの美しさは、莫大な費用をかけて加工し、飾り立てるあらゆるハリボテ装飾を超えている。本来、全ての存在、生物、人間は、徹底的にそれ自身であることで、最高に美しくなるよう、そして互いが完全に調和するよう出来ているのではないだろうか。

フリークライミングは、その行程が目に見え、命がかかっていることが分かり易いというだけで、本当は、生きている全ての瞬間はそういうギリギリの事象の連続なのだと私は思う。特に「13の月の暦」を通じて、時空の波頭をライディングする感覚に実感が伴うようになってからは、尚強くそう思う。

最後に暦関連のメモを少し。アレックス・オノルドは1985.8.17生まれのKIN106(2・橋渡し)。何と、現在の「世界の橋渡しのウェイブスペル」の初日KIN66(1・橋渡し)に、「時のからだ塾」第6リズム最後の1枠をgetした大分のTさん(KIN106)と同じ誕生キンであった!

そして、今年の8.17(KIN36)は【草薙剣を祀る熱田神宮で、鉄舟の祝福をいただく】という記事をLがUPした日でもある。熱田神宮に参拝した霊験か、演武会での蒼天支部道場の演武は大成功に終わった。こうしてみると、『フリーソロ』を今のタイミングで見られたのも、剣と絡んだ大きな流れの一つと思えて来る。何故なら、映画の中でも、彼が侍と剣について言及しているシーンがあるからだ。

ところで、アレックスの眼差しや雰囲気、誰かに似ていと思ったらやっと思い出せた。F1ドライバーのアイルトン・セナだ。ちょうどアレックスは今、セナ(KIN192)が他界した時の年齢と同じ34歳。挑戦を続ける限り危険は付きまとうものだが、違和感から登攀を中止して引き返した時の感覚を忘れずに、長く冒険を続けてもらいたいものである。(D)

電気の月2日 6・猿(KIN71)

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