満月の「赤い月」のタルチョ奉納

世界遺産としても有名なネパールのボダナート仏塔は、チベット仏教徒にとって重要な聖地の一つである。例えば、ナムカイ・ノルブ著『夢の修行 チベット密教の叡智』のP205には、以下のような表現が登場する。

”ジグメリンパの場合、三昧の中で、燃え上がるような世俗からの出離の念を体験し、体外離脱して、ネパールのボードナートの仏塔に飛んで行った。”

また、私たちの古くからの友人であるチベット人のドルマは、かつて日本での新しい生活を始める前に、ボダナートの仏塔にタルチョ(五色の祈祷旗)を奉納して来た、という話を聞かせてくれた事がある。きっとそれは、伊勢神宮でお神楽をあげるような、特別な祈りの行為なのだろう。

今年のG11/20(KIN26)、カトマンズ訪問中にNPOクリカの設立12周年を迎えた私たちは、ドルマの話を思い出して、タルチョを奉納しようと思い立った。滞在先のゲストハウスから仏塔までは徒歩5分もかからないので、この日はいつも巡っているところだけでなく内陣にも入ってみたが、タルチョを扱っているおじさん達が見当たらずに断念。

どうやら毎日受け付けている訳ではないようだ。もしかしたら、満月とか新月のような特別なタイミングにしか受付けないのかもしれないという事で、滞在最終日に当たる満月の11/23(KIN29)の朝、再び内陣に入ってみた。すると、やはり大勢の人々で賑わっていて、タルチョの受付けも行われていた。

タルチョは7本で1セットになっているらしく、ちょうどそれが仏塔頂上部から地面までの1ライン分に相当するとの事で、1セット分を購入して名前を書き入れ、担当のお兄さんに手渡すと、その場で7本を一つに繋いだ上で同じ色が揃うように綺麗に畳み直してくれる。午前10時にまとめてセットする(仏塔頂上部に登って結びつける)とのことで、タルチョを手に祈りを捧げてから指定の場所に奉納。

NPOクリカとして無事12年間活動を続けて来られた事と、支援者の皆様や子供達、そしてマナサロワール・アカデミーとのご縁に感謝し、今後も必要な支援を続けて行けるよう祈念した。タルチョが塔にセットされる頃には、もう飛行場に向かっている時間だが、何とか最終日に間に合って良かった。

ちょうど『13の月の暦』のツォルキンでも奉仕を活性化する「赤い電気の月」の日で、日本では今上天皇による最後の新嘗祭が行われた日。フライトチケットを早めに押さえる関係で、滞在日程は半年以上も前に決めてしまっているのだが、最終日に満月と特別な新嘗祭がシンクロしていたことにも気づけたのは、大きな喜びだった。ただただ感謝である。(D)

律動の月1日 10・月(KIN49)

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