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青い水晶の嵐の年(2004.7.26 - 2005.7.25)自己存在の月
ヒマラヤ・インド・シンクロニック・ジャーニー


自己存在の月3日(G10/20)7・蛇 KIN85「オーパーツ・アショカ王の柱」(by  D)

 2日目は夜行列車に乗る関係で、日中はニューデリー市内の国立博物館とチベットハウ スに行くスケジュールだったが、私達は後半オプションで延長した旅程も考えて、少しのんびりさせてもらう事にした。運が良い事に、出発前にガイドブックを 見ていて、市内で一番行ってみたいと思っていた「クトゥプ・ミナール」がホテルから最も近い観光スポットだと判明したので、そこにだけ足を運ぶ事にする。 世界遺産にも登録されているこの複合施設は、インドで最初のイスラム寺院や(実はそれ以前にあったヒンドゥー寺院の上に建てられたとの事)、70m余りも ある石の塔が有名であるが(ここにも蓮の花のモチーフがあった)、もう一つ「アショカ王の柱」と呼ばれる高さ7mの不思議な鉄柱がある。4世紀に製造され たと言われるこの柱は、未だにほとんど錆びておらず、鉄の純度が高いのがその理由と考えられているそうだが、錆びないレベルまで純度を上げる精製技術が発 見されたのは、通常の科学史によれば19世紀以降という事になっている。このように時代にそぐわない「場違いな加工品」の事をオーパーツと呼ぶのだが、世 界中で発見される様々なオーパーツを知るたびに思うのは(それらが本物かどうかは別として)、現代科学の手法とは何か別な手法があったのではないかという 事と、現代の方が進歩しているという直線的な時間観念に対する疑問である。私達は、現在の文化形態に依存したものの見方に縛られすぎているのではないだろ うか。

 ★アショカ王の柱をバックに女の子達と。色彩豊かでまるでお花が咲いてるみたい!

 夕方、ホテルで皆と合流し、インド門に立ち寄ってから、タンドリー・チキンで有名な レストラン「モティ・マハール」へと向かう(実は、2年前のブッダガヤの旅の時にもここに来ている)。日本で仏教講座やチベット語講座をされた事のあるテ ンジン・チョパク氏(サキャ大学副校長でダライラマ法王日本代表部事務所の現代表チョペ・ペルジョン・ツェリン氏のご子息でもある)が、タイミングよくデ リーにいらしていて、ここで夕食をご一緒する事になったらしい(普段は南インドにいらっしゃるそうだが、何かの手続きでデリーに来ていたのだとか)。仏教 講座には私も一度出席した事があるので、私達にとっては先生でもあるわけだが、友人の僧侶と共に現われたテンジン先生は、まだ若いさわやかな青年だ。食事 を楽しんでいる最中、ふと思い出して「実は、お父様にツォペマ(蓮華湖)の事を教えて頂いたので、行く事にしたんですよ。」と話したら、「そこには叔母さんがいて、ツォペマの伝説についてとても詳しく知っているから、是非会ってみるといいですよ。」と意外な答えが返ってきた。というのも、代表は「今年はパ ドマサンバヴァに関係の深い年だし、ダラムサラからも近い。」という理由でツォペマ行きを薦めて下さったが(月の月10日「シャンバラの道」参照)、ご親戚(家族)が住んでいらっしゃる事などは 一言もお話になられなかったからだ。もっとも、代表にお会いした時点では、この旅に参加するかどうかも決まっていなかったのだから、そういった所まで話が 展開しなかったのも当たり前と言えば当たり前だ。私達は、その叔母さんのお名前がA・テンジン(ダライラマ法王のお名前もテンジン・ギャッツォというようにテンジンという名前は男女関係無く割とよく耳にする)である事と、英語はしゃべらないから誰か通訳が必要だと いう事、そして杖をついている等いくつかの特徴だけを教えてもらった。ツォペマでは有名な人らしいので、誰かに聞けばすぐに居場所は分かるというのだ。そ れにしても、まさかデリーでこのような情報が得られるとは思ってもいなかったので、この展開にはワクワクせずにはいられなかった。

 

★左端がテンジン先生。ここで再会できるとは夢にも思っていなかった。隣のご友人は、12才の時にインドに亡命。チベットに残るご家族とは、それ以来会われていないそうだ。

 夜行列車に乗るためにオールドデリー駅に着いたのは、すっかり暗くなってからだった が、旅人、ポーター、物売りに物乞い、ありとあらゆる人達が雑多に入り乱れるこの場所では、添乗員のお二人にもかなりの緊張感が走る。パスポートや荷物が 紛失してしまっては、せっかくの旅も台無しになってしまうのだから、どんなに注意しても注意のし過ぎという事はあり得無い。「インドの電車は、数時間遅れ という事が珍しくないので、その日のうちに乗れたらラッキー、オンタイムで来たら奇跡と思って下さい。」とアナウンスされていたので、1時間程の遅れで無 事列車に乗り込めた時はホッとした。思ったほどの揺れもなかったので、いつの間にか眠ってしまった。

 

★怪しさ炸裂、夜のオールドデリー駅。背後に写るライムグリーンのおじさんのリッパな髭と腹に一氣に眠気がふっ飛んだ。列車を待つ間、色々な人を見ているだけで全ての感覚が沸騰しそうだ。それにしても、ツアーは楽ちんだな〜。

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