Kulika Logo


青い水晶の嵐の年(2004.7.26 - 2005.7.25)自己存在の月
ヒマラヤ・インド・シンクロニック・ジャーニー


自己存在の月10日(G10/27)1・人 KIN92「竜の道を辿って蓮華の湖へ」(by  D)


6時頃目覚めると、夜中降り続いた雨も上がっていたので、朝の新鮮な空気を吸いに散歩に出かける事にした。緩やかに下る小道に沿って、石と木から成るこの 地方特有の形をした家が建ち並んでいる。煙突からのどかにたち登る煙や豊かな緑、朝陽に輝くヒマラヤの峰々。どこか懐かしさを感じる風景だ。ゆったりした 時間を味わいながらホテルに戻り、中庭にある「ジャクティパット」と呼ばれる小さなお堂の前でしばし瞑想をする(ホテルスタッフも靴を脱いでお祈りを捧げ ていた)。ヒンズー神話の宝庫であるこの辺りでも、特に重要視されているらしいこのお堂が、泊まった部屋の目の前にあったりするところがまたスゴイ。そん な場所なら何か面白い夢でも見るだろうかと、昨夜期待して眠りに就いたが、すっかり爆睡して夢のカケラも憶えてはいなかった・・・。

 

朝食後、もう一度お堂の前を通ると、僧侶が扉を開けて中を掃き清めていた。お陰で、神々がハチに姿を変えて運んだという「聖なる石版 (5×8×6m)」を直接見ることが出来た。どうやら、この時間帯(あるいはこの日)はそういう作業をするタイミングらしく、ホテル入り口前にある小さな 祠(ヴィシュヌ神が祀られていた)も、裏手にある不思議な形の祠(シヴァ神が祀られていた)も全て扉が開かれていて、それぞれ守り手の人たちが丁寧に清め ている様子を見ることができた。レーリヒ・ミュージアムへの道すがらに立ち寄った、トリプラ・スンダリー・デヴィ寺院(女神が祀られていた)は、幾何学的 な木彫や宇宙的なデザインの塔が印象的なところだったが、ここでも女性の守り手があちこちを清めていた。合掌して挨拶すると、私達二人の額に赤い粉をつけて 祝福してくれた。

 

昨日に続き訪れたミュージアムもギャラリーも、明るい日差しの下ではまた違った美しさを見せてくれる。ギャラリーの庭 にある大きなヒマラヤ杉の根元には、古い石造が集められていて、特別な場所のように囲いがしてあった(どうやらここはレーリヒお気に入りの場所だったよう で、後に「Nicholas Roerich Museum NY」のHPで何枚もこの木の写真を見る事ができた)。ここにも、ちょうど僧侶がやってきて、お清めを始めたのだが、良く見たらホテルのお 堂を清めていた人と同じ人物だった。ギャラリーを離れる前、庭に掲げてある「平和の旗」がはためくのを一度見たいなーと思っていたら、それまでずっと凪い でいた風が少しの間だけ吹いて、願いを叶えてくれた!おメデタイ私は、この谷を守る神々とレーリヒのスピリットが今回の訪問を喜んでくれたものと勝手に解 釈し、感謝しつつこの地を後にした。

 
 
昨日来た道をマンディまで戻る途中、休憩を兼ねて渓谷沿いのヒンズー寺院に立ち寄る(控えめなドライバーが珍しく自ら希望した)。そういえば、昨日ここを 通った時も、彼がソワソワしていたのを思い出した。きっとヒンズー教徒にとって、とても大切な場所なのだろう。私達も一緒にお参りさせてもらった。その後 車はマンディの街を通過し、段々と山道を登っていく。すれ違いがギリギリできる位の細く曲りくねった道には、ガードレール代わりの白い石が並べてあるだけ で、その先はいきなり切り立った崖になっている。こんな道で、時に荷物満載のトラックやバスが対向車としてやってくるのだから、下手なアトラクションなん かよりよっぽどスリリングだ。マンディからツォペマ(=蓮華湖=レワルサル湖)まではおよそ1時間と聞いていたが、谷は益々深くなるばかりで、坂道は下り に入る気配を一向に見せない。まだ先は長いのだろうか等と考え始めた頃、予想外にそのまま湖に着いてしまった。何とツォペマは山頂付近にあるカルデラ湖の ような湖なのであった。

 

ところで、私達が2日間お世話になった車のナンバーは「HP 01 M 0175」だったのだが(ちなみにHPはヒマーチャル・プラデーシュ州のこと)、この数字は、今回の旅のきっかけをつくって下さった久保さんの銀河の署名 (6・鷲=KIN175)でもある。さらに興味深い事に、レーリヒ・ギャラリーのチケットに記されていた住所(多分郵便番号)は「175・130, H.P.INDIA」で、到着したホテルレワルサルの住所は「175・001,H.P.INDIA」。ドリームスペル的(数字中毒的と言っても良いかもし れない)にこれをコードブレイキングをすれば、「鷲(ヴィジョン)」の導きで「KIN130→KIN1」の「竜の創世記」を、その回転が始まった時まで 遡ったという感じだろうか。ナガール(竜)から蓮華湖(パドマサンバヴァ生誕伝説の地)という空間的な移動も考慮すると、この日のドライブが実に魔術的な ものだったように思えてくる。こうなるともう殆ど病気で、チェックインした部屋のルームナンバー「201」も、2012年の冬至を含む「時間を外した月」 (『7:7::7:7』由来)か、などと深読みしてしまう始末である。

ひ と休みした後、夕暮れ時の湖を散策しに外に出てみた。ついにやってきた「伝説の湖」は、歩いて一周するのに15分とかからないような可愛らしい湖で(池と言っても疑われない位かも)、湖岸にひしめく建物がカラフルなせいもあって、ちょっとしたテーマパークのようにも見える。しかし、複数のチベット寺院の 他、ヒンズー寺院やシク教の寺院まであるこの地は、やはり聖地なのだ。チベット仏教では、聖なる場所(もの)を右手に見ながら巡回する「コルラ」というお 祈りの仕方があるが、湖岸の道をコルラしている人を沢山見かけた。私達もそれに習って時計回りでゆっくりと巡ってみたが、山側に野生猿の群れ、湖の中に尋 常でない数の魚を見つけた時は、少々面くらってしまった(多分ここでは魚を獲らないのだろう)。ヒンズー寺院の前でも、シヴァ神の乗り物といわれる「ひとコブ牛」の像を見つけて珍しがっていたら、すぐ傍に本物の「ひとコブ牛」が現れたりして驚かされたが、同時に「さすが伝説の地!」と妙なところで納得するものがあった。

 


←BACK NEXT→