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時間芸術学校クリカ「シー」

青い水晶の嵐の年(2004.7.26 - 2005.7.25) 


太陽の月1日(G3/7)2・夜  KIN223「中正紀念堂で展覧会」(by L)

一昨日台湾から帰国した。二人とも台北で行われた天真書法塾の臨書展に出展したので、今回はそれを観に。
展覧会場は、台北の名所中の名所、国立中正紀念堂。 私は「礼器碑」、Dは「金文」を臨書したのだが、こんな場所に自分達の作品が展示されてしまうなんて、摩訶不思議な気分だった。一年前の台北旅行の際、Dは 故宮博物院で初めて金文の実物に触れたのだが、あの時彼はまだ書法の稽古すら始めていなかった。それなのに、今や彼の金文が中正紀念堂の壁を飾っ てしまうのだから、ものすごい展開。常識で考えると無謀(というか、考えられない)。しかし、これこそ時間のエネルギーの働きその もの!楽しいと思える事になら、その時得ている全ての縁に感謝して、迷わず挑戦してしまえば良い。それが、時間の波に乗るコツだ。

すごいついでに書いとくと、今回の作品が彼の第1作目。大胆にも「D、中正紀念堂で書家デビュー」って事になる。何だかえらくカッチョ良いお話だわ。


太陽の月2日(G3/8)3・種  KIN224「台北の美しい宿」(by L)

よっぽどの事が無い限り、旅の手配は自分でする。自分で決める事が楽しいし好きだから、たとえ予想外の事や失敗が起っても、それはそれで良いじゃーん、と思っている。

今回のホテルは台北商旅慶城館。 スタッフもオペレーションも空間も全てが美しい。それ自体、一つの作品だ。ここに泊まるために台北に来たいと思っちゃうほど私達には寛げる。ゴー ジャス施設があるとか、ビックリ目玉サービスがあるとかっていう話では全然無い。とても静かで控えめ。他のホテルとは勝負してる土俵が元々違うよとい う感じだ。


★ネットやメールで直接予約の場合、スペシャルレートがありとてもリーズナブル。24時間使える宿泊者用ラウンジには、日本語OSのPCやコーヒー、クッキーも用意され(全て無料)、各お部屋のLAN装備も使い放題!・・・自宅と変わらない。

このホテル、何が他と違うのかというと、 全体にオーナーの「意図」が行き渡っている事だろう。「こうありたい」という明快な意図。全ての要素が美しい調和を奏でている秘密はそれ。私は日本を発つ前から少し体調を崩していたのだけれど、このホテルで過ごしたおかげで回復も早まった。気持ち良い空間は最高のお薬だ。

 ★龍都酒楼の一日15羽限定広東ダック。ダック好きのDは、東京を発つ前に予約を入れダックをゲット。あまりの美味しさに白目剥いて頬張ってました。


太陽の月5日(G3/11)6・手  KIN227「ショコラ」(by L)

ニコタマはホントに美容室の多いところ。家から半径10分以内(といっても半分180°は河原)に30件はあると思う。10数年通った西麻布と代官山までは、ちょっと距離があるので地元で探してみることにしたのだが、ココ!というところにはまだ出会ってな い。今日は家から一番近くを探検。その美容室では、カットしている間、雑誌の代わりにパソコンで好きなDVDを見せてくれるというので、リストの中 から「ショコラ」をリクエスト。(私はダンゼン映画館派。レンタルはしないから映画館で見逃すと観ないままなのだ〜。ショコラは見逃した1本だったのでラッキー。)そしてこれが私にとって今日観るのにピッタリだった!

  

★チョコレート作りのシーンはうっとりするほど官能的。いてもたってもいられず、美容室からタマタカのチョコレートショップに駆け込んだ。この映画観たら誰でも絶対そうなるはず。ご注意!

舞台のチョコレートショップの名前は“MAYA”、これだけで何だかワクワクだ。ショップの内装はいきなりメキシコ風だし、古代マヤの遺跡がモチーフの小物がたーくさん登場する。何と翡翠のパカル王のお面まで。映画の主題とマヤとは殆ど関係ないけれど、チョコレート=カカオつながりというのがポイント。(こんなこと面白がって観る人はめずらしいと思うけどね。)

実は。13の月の暦では、今日5日は 私の毎月の誕生日(そもそも、だから今日こそ美容院に行きましょうと思ったのよ)。同時にツォルキンでは風のウェイブスペル(私の銀河の誕生 日もあと4日後)なんだけれど、映画の主人公はマヤの“北風の一族”の出身。今、世の中はあと2週間でイースター(復活祭)で、映画の中でも時はまさにイースター(この映画の重要なモチーフ)。ストーリーも色彩も思い切り楽しめる、とてもスイートな作品だけれど、私にとってのシンクロっぷりが一番の面白さだった。

ところで、今まで10数年間私の髪を切ってくれていた のは全て女性。ニコタマでは何故か全て男性美容師さんなんだけど、男性美容師さんは女性の髪を甘甘な感じに切る傾向がある?家に帰ってから、いつも前髪の端にちょっとだけシャープにハサミを入れる私だ。そしてニコタマ美容室探検はまだまだ続く・・・。


太陽の月6日(G3/12)7・星  KIN228「ピースマーチ」(by L)

今年もピースマーチに 参加した。いつ見てもチベット国旗は良いな、元気が出るな。そして何故かわからないけれど誇らしい気持ちになる。しかしチベット本国では、国旗掲揚は投獄 の罪。チベット人にはその自由すら認められていない。初めてこれを知った時、そんな馬鹿な!と少なからずショックを受けた。

小学生の頃、両親から贈られた地球儀で 「チベット自治区()」という言葉を初めて知った。国の名前のあとに何故「自治区」とくっついているのか、それがどんな意味なのか謎に思ったのを覚えている。 大人になってからは、読んで字の如し、チベット自治区なんだから、チベット人による幸せな自治が行われているのでしょうと勝手に思い込んでいた。でも、そ れは全然違った。実態は「自由無き自治」だ。(チベット自治区と名付けられたエリアは、本来チベットであるエリアの半分の面積にも満たない。残りの部分は中国の省として併合されてしまっているため、チベット自治区という名前すらつけられていない。)

ピースマーチが始まる前、チベットハウスのルントックさんが、ダライラマ法王による「チベット民族蜂起46周年」の声明文を 読み上げ、続いて牧野聖修衆議院議員(チベット問題を考える議員連盟代表)が、情熱的で切れの良いスピーチをされた。国会議員でありながら堂々とこの活動をするのは相当な覚悟を持たれての事だろうといつも胸が熱くなる。(両方とも本当に素晴らしく、そして力強く、心底感動を覚えた。聴いているみんなの顔にも、 パーっと希望の火が灯るのが見えた。言葉はエネルギーそのものだ。)

理不尽過ぎる理由と武力によって、チベット人の自由は今も奪われたままだ。しかしチベット人は、一貫した非暴力によってそれを取り戻そう、事の解決に当たろうと固く決意している。その姿の何と気高いこ とか。私は彼らを応援したい。チベット問題に関しては重たいニュースが多いのも事実。でも、一寸先は光だ!そして、状況はどんどん良くなっている。私はそう信じている。


実はデモや行進は大、大の苦手。でも、たとえ誰に伝わるかわからなくても、自分の生まれ育った街でこの行列の一員に加わるのは、私にはとても自然に思える事。何故なら、私がチベット問題を知ったのは、NYに住んでいた頃、国連近くでピースマーチに遭遇したのが始まりだから。


太陽の月9日(G3/15)10・猿  KIN231「銀河の誕生日」(by L)

エントランスの沈丁花がふわりと良い香りを放っている。今日はKIN231/青い惑星の猿。私の銀河の誕生日だ(何スピン経過か、だんだん計算が出来なくなってきた)。

朝、 河原で新体道のエクササイズをしていたら、太陽の周りにでっかい虹が出ているのをDが見つけてくれた。嬉しい!ダライラマ法王特集の「ブルータス」も本日発売。これもとても嬉しい!Dと美味しいランチ・大好きなお菓子のデザートを済ませて帰宅すると、ダラムサラのマリアさん(この春、法王の通訳で来日される予 定)からメール。法王講演会(国技館と熊本)で販売予定のチャリティー(チベット難民支援)グッズが、無事インドを出発したとの知らせ。これでKIKUの みんなに手伝ってもらいながら梱包作業も予定通り行える。嬉しい!日本とチベットのお正月を挟んでの作業だったので、けっこう綱渡りスケジュールだったけ れど、これで安心。そして間髪入れす、ダライラマ法王と同じKINの知人からメール。嬉しい!そして、そうとは知らない麗しのプリタカさんから「え〜 何だかよくわからないんですけどね、どうしても李紗さんの声聴きたくなっちゃって〜」とお電話(相変わらず直観冴えてるわね、プリタカ)。何はともあれ、嬉しい事いっぱいの、そして何より自分でいる事が嬉しい、春の銀河の誕生日だった(次に巡ってくるのは冬)。


★今の時期、我が家にお見えになる方はとてもラッキー。
アプローチを取り囲む沈丁花、良い香りでお出迎え。


太陽の月10日(G3/16)11・人  KIN232「介護流柔術」(by  D)

数年前、巨人軍の桑田投手復活に大きな影響を与えた人物として注目を浴び、その 後NHKの教育講座にも登場するようになった武術家・甲野善紀氏。実は、学生時代に氏の『表の体育・裏の体育』(壮神社)という本を読んだ頃から注目していて、10 年以上前に、池袋コミュニティカレッジで開かれていた講座に通った事もある位なのだが、その後、体技に関しては新体道を軸に稽古してきた事もあって、氏の 発信される情報には常に意識を向けながらも、講座などに参加する機会は失ったまま今日に至っていた。しかし、最新著『身体から革命を起こす』(新潮社)で 改めてインパクトを受け、「これは今体験しないといけない」という思いに駆られ、今日、ご本人が最新の研究成果を実演と解説を交えて発表されるという講座 (人間考学研究所主催)に、Lと二人で参加してみる事にした。

それとなく始まった講座は、参加者からの「問い」に答える形で展開してい くので、最初は皆戸惑い気味だったが、誰の目にも明らかな違いが分かるような驚くべき動きを次々にやってみせ(瞬間横移動とか腕に人一人をぶら下 げて持ち上げたりとか)、惜しげもなくその秘訣を解説して下さるので、いつの間にか参加者も引き込まれ、また先生の方も調子を上げて、「これは、もしかし たら出来るかもしれないと思って、今日始めてやってみました」とか言いながら、身をサッとかわす技をその場で創ったり、杖や竹刀を使っての技を沢山披露し て下さったりした。また、甲野先生を中心にした輪と別な場所では、常連さんと思われる人達がそれぞれの技を研鑽し合ったりしていて、会場全体に自由で充実 した雰囲気が感じられた。私達はその中で、介護に応用できる技(先生曰く介護流柔術)を教えている人の所へ行って、実際に横になった状態から起こしても らったり、立たせてもらう事を体験し、またアドバイスに従って自分達でやってみたりもした。これらは、体重とバランスを上手に使う実に画期的な方法で、腕力をほとんど必要としない(従って、習熟すれば小柄な人が大きな人を起き上がらせる事も可能だ)。後から本とネットで調べた所、これらの技法を丁寧に教え て下さった方は、甲野先生の技を介護の世界に応用して成果を上げている(と本の中でも紹介されている)介護福祉士の岡田慎一郎氏ご本人だった事が判明し た。後半、甲野先生の術技を体験する輪に戻ってしまい、ちゃんと挨拶できないまま帰途についてしまったので、この場を借りて御礼申し上げておきたい。

今、 介護の世界は、大変な事になっているようだ。介護保険が導入され、巨大な市場が形成されている一方で、現場で使えないマニュアルチックな介護技法が「正し いもの」として教えられているせいで、介護している人達自身が次々に身体(特に腰とか)を壊して介護される側になっていく、というとんでもない事態が発生 しているらしい(こういうシステム的な問題は現代社会の至る所にあるが)。この辺りの詳しい状況については、先述の本を読んで頂くのが一番だが、私達が教 えてもらった技法なら、一人でかなりの重さの人を起こしたり、立たせたりできるので、少なくとも自分の身体への負担は大幅に減らす事ができると思う。介護 や福祉に携わっている人、身近に介護を必用としているご家族をお持ちの方には、是非とも知ってもらいたい方法である(もちろん、これからの日本は高齢者だ らけになるのだから、今直接関係ないように思える方でも知って損するような事は無いだろう)。

そうこうしているうちに、3時間の講座は あっという間に終了してしまった。解説を聞いているだけでも十分な面白さと深さがあり、非常にお得感のある講座だったが、希望すれば誰でも直接先生の技を 体験させてもらえるという所が何よりも素晴らしかった。「百聞は一見に如かず」「百見は一触に如かず」(この言葉は沖縄古流空手の宇城氏のご著書で知った) と言う言葉の通り、通常とは質の異なる動きを、直接この身で体験する事は、仮に何をされたのかが全くわからなかったとしても、自分の身体の使い方を根本か ら見直す良い機会になるだろうし、フィルターをかけずにただ味わってみれば、自分がそういう動きを取り入れてみる際の大きなヒントにもなるように思う。ま た、こういうスタイルの講座は、目的(具体的問い)を持って参加する人程、たくさんのお土産を頂いて帰れるという印象も受けた。その辺りの感覚も含め、先 生の講座は「13の月の暦」で言う所の13:20(自律的な調和と創造)を、現実世界に適応したひとつのモデルのようにも思えた。

最新著 には、養老孟司氏を始め、甲野氏と縁のある幅広いジャンルの方(フルート奏者や卓球・バスケの選手など)からのメッセージや、江戸時代の身体文化について の考察が豊富に記されいる他、介護流柔術の詳細等、超高齢化社会へと向うこれからの時代に必用な知恵(ヒント)が満載である。『身体から革命を起こす』と いうタイトルは決して大げさでは無い。本書を読んだ人は、自分の身体という一番身近な自然の奥深さを、探求せずにいられなくなるだろう(影響を受けやすい 私などは、駅のホームや家の中など所かまわず色々試すもので、Lから呆れられてしまっている)。そして、一番身近で常に触れている事柄から変化が促されていく事を感じるようになるだろう。ちなみに、私が一番よく観に行くHPのひとつは、この甲野 先生の研究成果がほぼリアルタイム綴られている日記(随想録)なのだが、本に書かれている事のその後の展開についてもかなり詳しく知る事ができるので、興味のある方は覗いてみられると良いだろう。


太陽の月21日(G3/27)9・夜  KIN243「失われた文明」( by L)

もうすぐダライラマ法王が来日される。講演会場でチベットサポートショップKIKUを開店するので、昨日はその準備のため、チエちゃんとナオミちゃんが手伝いに来てくれたのだが、チエちゃんに「なぜチベットサポートを始める様になったの?」と聞かれた。

7年前の事だ。インドの旅の終わりにダラムサラを訪れた。デリーのチベタンキャンプから、窓も閉まらないオンボロバ スで16時間の旅だった。ヒマラヤの風は容赦なく車中にビュービュー吹き込むし、席は一応指定されていたが人や荷物でギューギュー詰め。座ったら最後その まま身動きは取れない。デコボコ道をジェットコースターが行く様な運転だから、眠り込んだらムチウチになっちゃいそう。発車してすぐこのバスに乗ってし まったのを後悔した。

乗客の殆どは亡命チベット人で、私の隣は長い髪を背中で三つ編みにした体格の良いおじさんだった。きれいな英語 で親しく話しかけられた記憶があるが、インドの旅の最中のこと、強烈な人々に疲れ、警戒心の固まりとなっている私の目には、その人も超うさんくさいおっさ んにしか映らず、「席が隣だからって私に気安く話しかけないでよね、フン。」みたいな態度でウォークマンか何か聴いていた。(超ビッチ!)その上、当時は チベット問題に関して殆ど何も理解していなかったから、何を話しかけられても、(今考えると取り返しがつかない程)失礼千万な返答を繰り返すだけだった。 (この話をしたら、誰にでもそんな過去があるのね・・・と思いきりチエちゃんを喜ばせてしまった。)

しかし、(細かい話はバッサリ省略するけれど)明け方ダラムサラに着き、バスを降りた時にわかった。私の隣に座って いた、うさんくさいおっさんと思っていた人は、実は本物のジェントルマンだったのねと。その人は、私がどんなに無礼な態度をとっても、ただ親切にしてくれ て、ただ色々な事を教えてくれようとした。そして目的地に着くと、雨の降る中、私の荷物をバスの屋根から降ろし「良い旅を祈ります」と言い名前も告げずに 去って行った。私だけに親切だった訳ではなく、また、親切だったのはその人だけではない。バスの中で居合わせた人達は、みんながみんなお互いの存在を気に 掛け合っている人たちだった。私はあの時実感した。チベット人達って何て優しいんだろう、何て豊かなんだろうと。あ れ以来、私の興味や関心がチベットを離れる事が無いのは、(もちろんダライラマ法王の存在も大きいけれど)バスの中で出会った、名前も知らないチベット人 達のおかげだ。彼らのために何かしたいな、と自然に思う様になったのだった。(東京に戻った後、当時のチベットハウス職員の方に写真を見せると、私の隣に 座っていたのは「タシ・ツェリン」という名の有名な歴史学者ですよ、何て勿体ない!と呆れられた。・・・猫に小判とはこの事。)

ところで昨日、チエちゃんがビデオ「失われた文明 7.チベット 時の終焉」を持って来てくれた。数日前アマゾンで見かけ、観たい!と興味そそられていたのでラッキー。有り難くお借りし、Dが出張から戻るのを待って今夜一緒に観た。10年前に制作された作品だから法王もリチャード・ギ アも若い若い!このビデオ、貴重な実写シーンも沢山あってかなり見応えがある。夢中で映像を追っていると、な、なんとあのタシ・ツェリン氏がいきなり画面に大 写しになっているではありませんか!あの時のバスのおじさんが一体何故なぜここにいるーーー?と興奮するのは私だけで、そうよ、考えてみたら彼は高名な歴史学者 なんだからビデオに出てたって不思議は無い。彼はビデオの中で、チベット人の選んだ生き方について解説を加えているのだった。それにしても凄すぎ る。その人の事を話したとたん、話した人(チエちゃん)が貸してくれたビデオ(←しかも数日前に知って観たいと思っていた)の中で再会が叶ってしまうとは。ご縁(シンクロニシィティ)とは何と素晴らしい!

タシ・ツェリンさん。またどこかでお会いしたいです。お会い出来たら、あの時の親切のお礼を言おう、非礼をお詫びしよう・・・そう思っています。そして今度はチベットについて、たくさんの事を教えてください!

 
★これがそのビデオ「失われた文明  7.チベット 時の終焉
ーチベット人は、国境を護る代わりに学問に没頭し、他国を侵略する代わりに僧院を建て、精神的なエネルギーの全てを慈悲や無常について考えることに費やしました。戦いに備えて常に死の覚悟をしていた民族が、生や死の相について考える様になったのです。ーby タシ・ツェリン


太陽の月28日(G4/3)3・犬  KIN250「指の先の美」( by L)

何 を隠そう、実はわたくしフラメンコ・ダンサー。せっかく体を動かすなら楽しい方が良いじゃーん、と始めたフラメンコなんだけれど、現在あまりの忙しさにお休み中。 もともとラテン気質なのか体質に合っているのか、外出先でフラメンコギターなど聴こえようものならウズウズだ。最初の頃は「やだよー、こんなフリフリス カート履くなんてー。絶対イヤイヤ。」とゴネていたけれど、慣れとは恐ろしい。だんだんと「ケチなフリルなんていけないわ、バンバカついててくれない と!」と豪語するようになり周囲を呆れさせている。フラメンコは、表面の派手さが目を惹く舞踏かも知れないが、私が一番魅力を感じるのは、何と言っても指 先の表現の繊細さ、優雅さ。指先が体全体とつながっているあの感じだ。それに比べたら派手な衣装はホンのおまけの様なもの。

最近は、Dの影響で舞踏より武道関連のエクササイズの機会が増えた。今日は中目 黒でのサーファークラスの後、Dにとあるワークショップに連れて行ってもらい、達人中の達人、K老師の流れる様な動きをかいま見 る事ができた。その上、ホンの少しだけれど老師から直に基本の手ほどきを受けることができて超ラッキー!会場には著名な武術家の方達もいらしてい た。達人達の動きを見る度に思うのだが、舞踏と武術は動きの美しさにおいて非常に良く似ている。というか、多分それは分ける事が出来ない。今日拝見したK 老師の指先の動きは魔法の様に美しく、老師ご本人もそれはそれは大らかで爽やか。とても素敵な方だった。中国語で講義なさる(勿論素晴らしい通訳もついて いる) のだが何故かおっしゃっている事が瞬間に「わかって」しまうのも面白く(これについては、Dも同じ事を感じていたとの事)、「体認」という言葉の奥深さ、 シン プルさにシビレた。なにはともあれ、今夜一晩でK老師にすっかりハート鷲掴みにされてしまった私である。もうフラメンコに戻れなくてもいい や。


★ワークショップの前に伺ったエキシビジョン「Syber Sexual Mdvanii」展。私達の道友でファッションドール界の達人、純子セラフィーナさんがプロデュースする腰抜かす程アートなお人形、Billy Boy*とLalaによる新作が40点程展示されている。中目黒のGallery 7°で4/8まで。Tel:3710-8450


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