Kulika Logo


青い水晶の嵐の年(2004.7.26 - 2005.7.25)自己存在の月
ヒマラヤ・インド・シンクロニック・ジャーニー


自己存在の月7日(G10/24)11・月 KIN89「ついに法王に謁見!」(by  D)

今日は、今回のツアーのメインイベントとも言える「TCV(チベット子供村)設立44周年記念行事」への参加と、「ダライラマ法王への謁見」 がある。記念行事の会場は、TCVの中にある大きなグラウンドで(多分ほとんどが崖地のダラムサラでは最も広い平地)、そこに面した見晴らしの良い建物 に、子供達の里親や来賓用の席が設けられていた。2004年で44周年という事は、亡命生活が始まった1959年の翌年には既にTCVの活動(の原型)が 始まっていた事になる。「民族の将来を担う子供たちの保護と教育のための施設が必要」と亡命早期に提案された法王の慧眼と、それを形にしてきた多くの方々 の努力に敬意を表したい。今年は4年に一度の特別大会という事もあって、ダラムサラのTCVだけではなく、インド国内に数箇所あるTCV各校からの代表団 も参加するとの事。開始までの待ち時間に校舎のお手洗いを借りたが、とてもよく掃除が行き届いていて感心した。探検好きなツアー仲間の話によると、上方の 特別席には昨日謁見したカルマパも来ておられるとのこと。席が大方埋まった頃、人々のざわめきが法王の到着を知らせる。しばらくすると、いつものあのスマイル であちこちに手を振りながら階段を登ってこられる法王の姿が目に入った。それにしても、本当に魅力的で活き活きとした笑顔である。周囲にいる人の顔まで一 瞬でほころばせてしまえるのは、法王が「慈悲や思いやり」という基本の教えを常に実践し、体現し続けておられるからだろう。斎藤一人さん流に言えば「魂力 (人間力)が高い」という事になるだろうが、存在自体に自然で穏やかな説得力があるのだ。

こういった行事ではよくあるちょっと長い挨拶 が続いた後(グラウンドで直射日光にさらされている子供達には気の毒であった)、子供達によるエキシビジョンが始まった。途中、犬やウシが横切ったりする 和やかな雰囲気の中、各地・各学年の生徒達による様々な出し物が披露されたが、印象に残ったのはまだ可愛らしい低学年の子たちの歌だった。想像より遥か に大きな声で歌い上げるその姿は、全身全霊で生きている事を表明しているようで、思わず涙が出てしまった。

 

そうこうしているうちに、いよいよ法王との謁見の 時間が近付いてきた。スケジュール調整が難航し、具体的な日程が確定しないまま日にちが経過していたので、一時は「謁見は難しいかもしれない」というムー ドもあったが、ツイてる事に、今日のトップバッターで会って頂ける事になったのだ!グラウンドを見下ろせる小高い丘の上にある寺院が会場だったので、待っ ている間もエキシビジョンの続きを観る事ができたが、通訳のマリアさんのお嬢さんも出場していた人文字では、見事な「蓮の花」も描かれた(今年がパドマサンバヴァに関係する年だから、という解説が英語でもなされていた)。

 ★全員頭の中はマッシロ。Kさんはこの状態を「法王に負けた!」と表現され一同深く納得。

謁見会場のお寺に入って緊張のうちに待つこと数分、颯爽と登場され た法王は、入り口付近で仏陀に向って「五体投地」をされた(東京の講演会等でも必ず仏陀のタンカに向ってこれを行われる)。そして、私達の間を通りながら 「ウェルカム、ウェルカム!シッダウン、シッダウン。ハッハッハッハッ!」と気さくに声をかけて下さった。僅か10分前後の謁見であったが、瞬間瞬間に重 みがあって全て書いていくとキリが無くなってしまいそうなので、ここでは印象に残ったひとコマを記すに留めたい。私達がデザインや販売に関わっているサ ポートグッズの携帯ストラップをお見せしながら、「これは、日本から材料の一部を送ってダラムサラのお母さん達につくってもらい、それをまた日本で販売す る事で、お母さん達やTCV等へのサポートになるものです」とマリアさんが説明して下さると、法王は「ウム、ベリグッ!グッドアイディア!」とおっしゃり ながら、ストラップの説明カードをご覧になりつつ「ところでこのスペル、ちょっと間違ってるねー」とニコニコされながらご指摘くださり、代表の久保さんが恐縮して (実は久保さんが覚え立てのチベット語で書いたものがベースになっていた)小さくなっていると、「まあ、大した問題じゃないよ。ハッハッハッハ!」と笑い 飛ばされ皆をさらに和ませて下さったりした。お別れ前に、それぞれ持参したカタを祝福のしるしとして掛けて頂いたのだが、途中からは「セルフ、セルフ」と銘 々で掛けるよう促されたりして、ちょっと気の短いところがまたお茶目で楽しい(というか先の予定が詰まっているので、急いでおられたのだろうが)。 「サン キュー」と声を掛けながら全員と握手して下さって、最後に記念撮影。あっという間のことで、皆頭が真っ白状態だったようだが、謁見後、誰もが晴れやかで満 足そうな笑顔になっていたのが印象的だった。出口ではTCV校長のジェツン・ペマさん(法王の実妹)が交通整理をされ、「さあさ、こちらがランチの食堂よ」と Lの手を引いて下さったのだが、途中で「あら、あなたまだ靴を履いていなかったのね」と気付かれたりする様子が、何となく先の法王と似ておられておかしかった。

 ★法王の「ハッハッハ!」だけで幸せなバイブレーションに包まれてしまう。 

食堂では東京のチベット医学講座でお世話になったDr・ダワ(現在はチベット医学暦学研究所にいらっしゃるらしい)をお見かけしたり、広場ではタンカをお 願いしているジャムガーさんファミリーと初めてお目にかかる事もできた。このイベントの主催者でもあるジェツン・ペマ校長はあちこちを忙しそうに歩きま わっておられたが、私達のグループを見つけると近付いてこられて握手をして下さった。広場ではパドマサンバヴァにまつわるチベッタンオペラが上演されてい たが、各グループとの謁見を終えられた法王がお帰りになるのが分かると、一気に人だかりができた。法王は例のごとく、お年寄りや遠方から来たであろう人な どに声を掛けられながらゆっくりと歩まれ、周囲の皆に笑顔で手を振ってから車に乗り込まれ、さわやかな風を残してTCVを後にされた。会場では、その後も様 々なプログラムが行われ、翌日には各校対抗の運動会のようなものも行われるようだったが、私達はしばらくしてからホテルに戻る事にした。ところが、山の天 気は変わりやすく、つい先程まで真っ青だった空は俄かに掻き曇り、大粒の雨が降ってきた。外でのイベントも中止になったのか、TCV前の道路は街へ戻ろう とする人で溢れてなかなかタクシーがつかまらず、ダル湖(聖なる湖のひとつらしいがちょっとした池のよう)の前で2時間近くも待つ事になってしまった。で も、そのおかげで久保さんは里子との再会を果たす事ができたのだから、全てちょうど良い感じになっているのだろう。

夜は、私達2人と久保さんマリアさんの4人で、お昼に会ったジャムガーさんのお宅で夕食をご馳走になる事になった。私達が結婚記念用のタンカ をお願いしていたので、完成間近のその作品を見せて頂くという事もあったが、もともとこのメンバー(ジャムガーさんファミリーを含め)はサポートグッズの 事で協力し合っているので、一度顔合わせをという意味もあった。マックロードガンジの中心部から少し谷間を降りて行ったところにあるジャムガーさんのお宅 は、台所と大き目のお部屋がひとつ(リビングルーム・寝室・仕事場兼用)というシンプルなつくりだが、整理整頓が行き届いていて気持ちが良い。マリアさん が「ジャムガーのところはテレビとかラジカセとか何でもあるよね」とおっしゃっられた通り、難民生活を強いられている状況でこれだけ揃っているのは、かな り恵まれているのだと思う。奥さんのソナムさんが腕を振るって下さったご馳走を、勧められるまま頂いていたら身動きが取れなくなる程満腹になってしまっ た。お願いしていたタンカは、想像以上に見事な出来栄えで、いつまで見ていても飽きない感じがしたが、完成までにはあと数日かかるとの事なので、ツォ・ペ マからの帰りに受取る事にした。他にも数枚のタンカを見せて頂いたが、どれも見事なものだったので、明日ツアーの皆と再び訪れる了解を得てホテルに帰っ た。『13の月の暦』では、今日で最初の四半期(13週)が完了。『時間の法則の20の銘板』によれば、この期間を束ねていたマスターコドン(易の卦)は 「8/人々の統一」で、それに対応するルーン(テレパシー的な普遍言語)は「時間の木が天を回転させる」という意味を持つ卍マークだ。仏法とも縁の深いこ の形のルーンが完了する日に、活きた仏法を伝えておられる法王に謁見できた事、そして心温まるチベットの友人と共に時間を過ごせた事に、共時性秩序の美しさを 感じつつ、充実した一日を終えた。


←BACK NEXT→