褚遂良と浅葉克己

三宅一生さんが2022.8.5に他界されたことを知り、【Creativity is born】という2016年リリースの本を引っ張り出してみた。その本の中に、天真書法を学ぶ者として見過ごすことのできない一文を発見した驚きを、記録しておきたい。

【楷書を完全にマスターして、字体を作っていくというのが、僕の方法です。】
これは日本を代表するタイポグラファー&アートディレクター浅葉克己さんによる言葉で、彼はISSEYブランドの文字デザインも多数手がけている。

まずは、楷書というところに、え?・・・と目が留まった。しかも、さらにこう続く。

『浅葉は、この20年間、毎日臨書を欠かしたことがない。お手本にしているのが、唐の時代の書家、褚遂良による「雁塔聖教序」。中国・西安市にある、慈恩寺の大雁塔に刻まれた楷書の碑文であり、褚遂良の最高傑作と言われている。』

えーーーーーーーー!
この意味するところ、この驚きを、
いったいどれだけの人に理解してもらえるだろうか。

天真書法塾では、古典を直接の手本として年代順に徹底的に臨書し、書の力を身につけてゆく。書の大名人である褚遂良の手本も、もちろん天真書法塾の本科のカリキュラムに入っている(「雁塔聖教序」は本科卒業以降の手本)。

シルクロードの始まりの地、西安の慈恩寺・大雁塔は、玄奘三蔵がインドから持ち帰った経典や仏像などを保存するために建立されたシンボリックな塔で、私たちもかつて登り「雁塔聖教序」の碑文も直接目にした。今でも目に浮かぶ。

「古典の臨書」という修行は、書を学ぶ人には馴染みがあっても、一般的にはあまり知られていない、どちらかと言えばマイナーなものだろう。しかし、日本を代表するタイポグラファーの浅葉克己さんが、ご自身の創造活動の糧にしているものは、天真書法塾で行う古典の臨書と全く一致するのだ。

浅葉さんがデザインした文字を見て、その背景に20年に及ぶ古典の臨書修行があるとは、全く想像がつかないが、このことは私たちに勇気と自信を与える。臨書こそ創作の命の大地なのだ。そして、臨書は模倣であり模倣ではない。それが極意。

シャンバラ教室生諸君、迷わず臨書に励みましょうね。ちなみに、褚遂良と浅葉さんのこの記事は【Creativity is born】を見直していて今回初めて気付いたものだ。ISSEYの置き土産として大切に胸に刻もうと思う。(L)

月の月13日 5・月(KIN109)
冒頭写真は浅葉氏によるデザイン


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ドリームスペル(13の月の暦)で見る日本と皇室
・「パカルの特別な13日」の由来と真の意味