ハヌマーンの手鏡・その5(KIN18)

今日「白い倍音の鏡(KIN18)」からぴったり100日前の「白い太陽の鏡(KIN178)」の日に、何とも不思議な「手鏡」現象を目撃した私達は、その余韻を味わいながらカトマンズを後にし、タイで数時間のトランジットを経て、翌朝KIN179(2017.11.18)に帰国した。

その後のメッセージのやりとりによれば、私達を空港に送ってくれたあと事務所に向かった悟郎さんは、ちょうど来所していたカブレ郡コーヒー協会の元お偉いさん(Gさん)から、ビール(シャーマン)についての詳しい情報を聞き出す事が出来たという。それを悟郎さんが分かり易く整理して下さったので、以下、そのまま引用させて頂く。

彼から”ビール”について詳しく教えて貰いました。
1.ビールは今もネパールにたくさんいる。
2.カーストや宗教は関係なく南にも北にもあらゆる地方にいる。
3.「ビール・ケルネ(ビールにやらせる。ビールに演じさせる)」という言葉があるように、ビールスピリットを使い様々な事をやっていただく。
4.ビールには白系と黒系がありタントリック・呪術・魔術である。
5.例えば、米など重いものをA地点からB地点に移動させる。
6.田植えをさせる。
7.人を殺す(口から血を吐く)。
8.こっちに振り向いてくれない人を向かせて好きにさせて結婚する。
9.ビジネスのために人を動かして利用する。
10.その際にビールは動物の生贄などを要求する。

ということで、あらゆることを頼めるそうです。

しかし、お金持ちになった後に家族が散々になり不幸になるケースもあり、怖いものだと言っていました。物を移動させたり田植えの話は実際に見たと言ってましたが信憑性は分かりません。

あと、ハヌマーン・ビールのところで処女の女性のみと言ってましたが、その地域ではなくその家族の構成員を全て知っている親戚等なら遠くでもだれでも良いそうです。ビジョンが見えたときに誰々と特定できたらよいとの事でした。(引用ここまで)

中には「こんな迷信じみたこと、ホントに信じられてるの?」と疑う人もいると思うが、ビールという言葉に対するネパール人の反応を見ていると、ある種の「恐れ」をリアルに感じているのが伝わって来る。おそらく、私たちが想像する以上にリアリティのある存在だったり、働きだったりするのであろう。

ちなみに、この情報を提供して下さったGさんなる人物は、ネパール大地震後の救援活動時(NGOマヤネットワークを参照)に色々と協力された方で、今はビジネス上の繋がりもあるらしい。ビールについてこんなに詳しい方がすぐに現れて、疑問があっという間に解けてしまう事自体が私には驚きであったが、実はこのGさんご自身も相当な不思議体験をされているようである。

何しろ、草刈中に崖から落ちて途中の木に引っかかり、九死に一生を得たという経験の持ち主で、体感では崖から落ちた時にデーヴィー女神にハッキリと抱きかかえられたのだという。実際には木に引っかかったお陰で深い谷底に落ちずに済んだ訳だが、本人は女神に助けられたという実感があるのだから、それがGさんにとっての現実なのだ。そして、救援活動時にこんな話をしていたからこそ、悟郎さんもビールについて聞く気になったのかもしれない。

以下は、こうした説明をひと通り聞いた上での、現時点での私の見解である。
・「ビール」とは日本だと陰陽師が操る「式神、鬼神」に相当する働きのようである
・見学した場所では、おじさんが陰陽師役で、使役する式神がハヌマーン(の精霊)という事であろう
・シャーマニズムは、はるか古代から世界各地に見られる普遍的なもので、「見えざる働き」には多様なものがあり、それにどういう名前をつけてどう扱うかが違うだけであろう
・ミルチア・エリアーデはシャーマニズムを「天界上昇と地下界下降」という観点で定義しているが、ウンとアから成る「天真五相」なども、古代からの普遍的要点を押さえた型なのだと思う
・どんな手法であれ「何と一つになるのか」がポイントで、「何」という対象が具体的には概念化できない「大いなるもの」に、「空」「タオ」「プネウマ」などという名前が当てられて来たのだと想像できる

今回の見聞に関するメモは以上でひとまず完了という事になるが、このおよそ2週間後に、もう一つの事例が悟郎さんによって報告されていたので、それをエピローグとして次回で完結したいと思う。(つづく)

銀河の月19日/KIN18 白い倍音の鏡

*この文章は、『13の月の暦』でKIN178(9・鏡)の日(2017.11.17)に体験した出来事をまとめたものである。
これまでの記事は以下のリンクへ。
(その1)(その2)(その3)(その4)