ニコライ・レーリヒとナガールのパシュミナ

15年前の申年に北インド・ツォペマを訪ねた際、道中のクルー渓谷ナガールで求めたパシュミナのショール。ぐるりと縁に繊細な手刺繍が施されている、タタミ1枚程もある大判のもの。

この地方のものは縦糸も横糸もパシュミナで織られ、とっても薄くて軽いのに、これ一枚で魔法のように暖かく、しかも生地が全然へこたれない。クルー渓谷を旅する事があったら、この地のパシュミナを是非手に入れて欲しい。時が経つ程に、豊かな気持ちになれるから。

ナガールは、敬愛するニコライ・レーリヒが晩年を過ごした伝説の地。あれは夢だったんじゃないかと思うほど美しい渓谷だった。でもあの地を訪ねたことが夢ではなかった事を、毎冬、パシュミナの暖かさが教えてくれる。作ってくれた人にお礼を言うことは叶わない願いかも知れないが、この一枚は生涯大切に使おうと思っている。(L)

共振の月2日 13・鏡(KIN78)

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